「なぜ行けなくなるのか」「どう関わればいいのか」「どんな選択肢があるのか」。
焦らず、一つずつ整理しながら考えていくシリーズです。
第1回では、
子どもが学校に行けなくなる背景には、
「怠け」や「甘え」ではなく、心の限界があることをお伝えしました。
では次に、多くの親が悩むのが、
「家庭でどう関わればいいのか」という問題です。
⬛︎ 親がついやってしまいがちなNG対応
心配だからこそ
つい口に出てしまう言葉があります。
・「いつになったら行けるの?」
・「このままで本当に大丈夫?」
・「ゲームばかりじゃダメでしょ」
悪気はありません。
どれも「何とかしてあげたい」という親の思いから出てくる言葉です。
けれど、心が限界に近い状態の子どもにとっては、
これらの言葉が
「責められている」「急かされている」
と感じられてしまうことがあります。
⬛︎ まず大切なのは「安心」を作ること
不登校の回復は、多くの場合、
安心 → エネルギーの回復 → 行動
という順番で進みます。
行動(登校)を先に引き出そうとすると、
かえって不安が強まり、動けなくなることもあります。
朝の声かけの例(小学生の場合)
・「今日はどうしたい?」
・「行かなくても大丈夫だよ」
・「家にいても安心していいよ」
選択を尊重された経験は、
子どもの自己肯定感を守ります。
※中学生の場合
朝に判断を迫ると衝突しやすいため、
前日の落ち着いた時間に
「明日はどうしたい?」と
聞いておく方がうまくいくことがあります。
⬛︎ 「何もしない」「ゲームばかり」をどう考えたらいい?
とはいえ、不登校の子供を見ていると、
「一日中ゴロゴロしている」
「ゲームばかりしている」
そんな姿に、
強い不安や苛立ちを感じる親は少なくありません。
「これは休養?それとも怠け?」
その境界は、とても分かりにくいものです。
けれど、心が疲れているとき、
何もしないこと自体が
回復に必要な時間
であることも多いのです。
判断の一つの目安として、こんな点を見てみてください。
・表情が少しずつ和らいでいるか
・好きなことには反応できているか
・笑う瞬間があるか
・夜、少しでも眠れているか
・家族の声に完全には閉じていないか
これらが少しでも保たれている場合
それは「怠け」でも「何もしていない」のでもなく、
心の回復にエネルギーを使っている状態
であることが多いです。
一方で、
・表情がずっと硬い
・何をしていても楽しそうではない
・食事や睡眠が大きく乱れている
・家族との会話がほぼなくなっている
こうした状態が長く続く場合は、
家庭だけで抱え込まず、
医療や支援に頼るタイミングのサイン
とも考えられます。
※休む日は「何もしない」も立派な回復。
大切なのは「今どうか」より、
“変化があるかどうか”を見ることです。
⬛︎ 家庭を「安全基地」にするための工夫
家庭は、
学校で消耗した心を回復させる場所です。
ポイントは、頑張らせすぎないこと。
・生活リズムは整えすぎない
・朝起きられなくても責めない
・家の中で小さな役割を持たせる
(配膳、ペットの世話など)
「役に立っている」
という感覚は、
自信を取り戻す助けになります。
⬛︎ 理想どおりにいかない日もある
頭では分かっていても、
「何もしないことが回復」
「安心を先に作ることが大事」」
そう思えない日もあります。
一日中ゲームをしている姿を見て、
不安や苛立ちが湧いてくるのは
親としてとても自然なことです。
それは、親が冷たいからでも、未熟だからでもありません。
親だって、子どもと同じ「人間」です。
余裕のない日も、思うように関われない日もあります。
それでも、子供を大切に思う気持ちが消えるわけではありません。
そんなときは、
無理に受け止めようとしなくて大丈夫です。
・一度その場を離れる
・別の部屋で気持ちを落ち着かせる
・「今は余裕がない」と言葉にする
これは逃げではなく、
感情をぶつけないための大切な選択
です。
一方で、子どもが強い不安の中にいる時期には
完全に距離を取ることが逆に不安を強めることもあります。
その場合は、
「近くにいるけれど干渉しない」
そんな距離感が助けになることもあります。
⬛︎ 親自身も、頑張りすぎなくていい
不登校は
親の力だけで何とかできる問題ではありません。
・迷っていい
・疲れていい
・誰かに頼っていい
「正しい対応」を完璧に続けるより、
続けられる関わり方
の方が、
子どもにとっても安心です。
⬛︎ 第2回のまとめ
家での関わり方で一番大切なのは、
「何をさせるか」より、
「どんな空気を作るか」
です。
安心できる時間が増えるほど、
子どもの心の体力は、少しずつ戻っていきます。
今すぐ手応えがなくても
悩みながら向き合うその時間は、
決して無駄にはなりません。
▶ 次回予告(第3回)
家での関わりに少し余裕が出てくると、
次に悩むのが
「学校とどう付き合えばいいのか」という問題です。
・先生には、どこまで伝えればいい?
・学校と距離を取ってもいい?
・支援や制度は、いつ・どう使う?
次回は、
学校との連携や先生への伝え方、
医療・支援とのつながり方
について、
具体的にお話ししていきます。